「FLOSS OR DIE?」

「FLOSS OR DIE?」 これはアメリカ合衆国での歯周予防キャンペーンのスローガンだそうです。
そのまま訳せば、フロスしますか死にますか、ということですが・・。
ちょっと大げさにも思えますか? 
このスローガンの含む意味はいろいろあろうかと思いコラムで取り上げてみました。


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まず、フロスとはデンタルフロスのことであり、歯の間の食物残渣やプラークを除去する刷掃道具のひとつです。日本では歯ブラシの補助道具という位置づけだと思いますが、アメリカではもう既に主要道具だと認知されているんだと伝わってきます。材質は、薄いナイロンフィラメントを束ねたものや、テフロンあるいはポリエチレンのプラスティックリボンであったりします。
 日本の大学の文献でも歯の間は、歯ブラシだけでは歯間部のプラークは50%程度しか除去できないということです。フロスを使用すると80〜90%までその除去効果があがるという報告があります。
最近の研究では「歯周病が全身の病気を引き起こしたり、悪化させたりすること」がわかってきました。
心臓病、呼吸器疾患、糖尿病、早産などとの関係が指摘されています。


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歯周病と冠状動脈性心疾患

近年、重大な心臓病の引き金になるリスクファクターとして、歯周病菌が関与している可能性が浮上してきました。そのメカニズムは、まず口内の歯周病菌が血流によって心臓の動脈に運ばれ血管壁に炎症を起こす。やがて炎症は冠動脈をつまらせて血栓をつくり心筋梗塞を引き起こすというものです。


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歯周病と肺炎

高齢になるほど肺炎を発症しやすくなります。年齢とともに体力が低下し、同時にウィルスやバクテリアに対する抵抗力も弱くなるためであると言われてきました。ところが肺炎の原因は抵抗力の問題ばかりでなく、口内細菌による感染症の可能性もあることが指摘されるようになりました。歯周病菌が発生させる酵素の作用で菌が肺の上部粘膜に付着しやすくなり、そこに細菌の巣ができるという説が有力で、実際、肺の吸引物から多くの歯周病菌が発見されることがあるということです。


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歯周病と切迫早産

妊婦には「妊娠性歯肉炎」という病名の歯周病があります。妊娠すると女性ホルモンの濃度が高くなり、それは歯周組織内でも高くなります。これを歯周病菌が分解し栄養分として菌が増殖することが知られています。ただ歯周病が悪化するだけでなく切迫早産の危険性が高まるという事実が指摘されてきました。歯周病菌と妊娠期に増大するプロスタグランジンという物質が関わっているのではないかと言われています。この物質は羊水中で一定量に達すると子宮の収縮を起こす物質です。出産時期より早く子宮の収縮が始まり切迫早産の危険が高くなるわけです。


歯周病と糖尿病

糖尿病は、血糖値が高くなる(高血糖になる)病気です。高血糖は口の中の環境に次のような影響を及ぼします。

口の中が乾燥する
高血糖状態では、浸透圧の関係で尿がたくさん出ます。
その結果、体内の水分が減少するとともに唾液の分泌量が減り、喉や口の渇きが現れます。唾液には食べ物を消化する働きの他に、口の中を浄化し、組織を修復する働きもあり、歯周病を防ぐように作用しています。高血糖のために口の中が乾燥している時は、その作用が低下していて、歯周病菌が繁殖しやすく、歯周病が進行しやすい環境になっていると考えられます。

唾液の糖分濃度が高くなる
 口の中は唾液や歯肉からの滲出液で常に潤っています。これらの液体は、もともとは血液から作られるものです。ですから高血糖下では、唾液や滲出液の糖分の濃度が高くなります。そのような状態は、歯周病の原因菌が繁殖に適していると考えられます。

細菌に対する抵抗力が低下する
高血糖状態では、細菌を貪食する好中球の働きが低下することがわかっています。つまり、感染防御機構が十分に機能しなくなるということです。感染症である歯周病もおこりやすくなるわけです。

組織の回復力が低下する
歯周病が進行する状況下では歯周病菌による組織の破壊がおきますが、それに対抗しようとする体の防御機構が活発になります。しかし高血糖下では組織を修復する働きが低下してしまいます。糖尿病では歯周病の進行が早くなってしまうわけです。実際に口全体に歯周病があるとすると歯根膜の炎症の総面積は手のひらの面積に匹敵するぐらいと言われています。

歯周治療で血糖値の改善
徹底した歯周治療により血糖値が改善されることがわかってきました。


歯周病の予防・治療

プラークコントロール
アメリカでの歯周予防スローガンはあながち大げさなものではないのかもしれません。
1)毎日しっかり歯を磨いて歯周病菌を繁殖させないこと
2)定期的にかかりつけ歯科医院を受診して、磨き残しのプラークは歯石をとってもらい、歯周病菌が付着し繁殖しやすくなる足場をつくらないこと
これらを生涯続けていくことが大事なのです。しかし、これが辛いことだと続きません。刷掃後その爽やかさを感じ取って下さい。そして歯磨きは楽しいこととして感じていただければ幸です。

血糖コントロール
糖尿病は恐い病気です。血糖のコントロールは大事なことだと上記の説明でご理解いただけたでしょうか。

禁煙
ニコチンは末梢の血管を収縮させ血の流れを悪くします。酸素や栄養が届かない為、組織の回復が十分に行われません。糖尿病の人は特に喫煙の弊害を理解してください。

食習慣のチェック
間食の回数が多いことや甘いものが大好きといった食習慣は歯周病のリスクを高めます。


一生、自分の歯で健康に噛んでいたいですね。



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こらむ はえかわり 2009年3月 書いた人:Ni

中原区歯科医師会ホームページ
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